ラウンド中に使用していいクラブは14本までと、ルールで決まっています。では、14本までという事は知っていても、14本以上持っていたらどうなるかご存知ですか?
答えは、違反していたホールに2打罰で、最高4打罰です。つまり、1ホール目で申告しない限り、1ラウンドで4打のペネルティを受けてしまうのです。
仲間同士のプレイベートなラウンドで、ペナルティを付ける人はあまりいないと思いますが、クラブ超過は立派なルール違反ですので、気を付けましょう。
では、トーナメントで、クラブが多いのに気づいたらどうなるのでしょう?プロがそんなミスするわけないと思うかもしれませんが、実際に起きた場合の2つのケースをご紹介したいと思います。
ケース1 2012年6月 男子ヨーロピアンツアー BMWインターナショナルオープン初日
ホセ・マヌエル・ララ選手(スペイン)が2番ホールをプレー中、キャディのマシアス・ビンソン氏が茂みの中へと消えていった。
ララ選手はいわゆる生理的現象だろうと気にもとめなかったが、同伴プレーヤーのプロ達が不審に思い問い詰めると、1本のクラブを茂みの中へ隠しに行っていたことが判明。
ルールでは2ホール目なので、通常4打罰が科せられるのだが、この場合は”エチケットの重大な違反”をしたとみなされ、”失格”が言い渡された。
ララ選手は、このキャディを解雇した。
ケース2 2006年8月 LPGA 新キャタピラー三菱レディース初日
大山志保選手はプレー中の12番ホールで自分のクラブ超過に気付き、すぐに競技委員を呼び自己申告した。ルールに則り、1番ホールと2番ホールにそれぞれ2打罰、計4打罰が科せられた。
※この時、大山選手は素直に「処置が分からなかった」ので、競技委員を呼んだと言っています。
同じ状況で異なる結果
ララ選手の場合も大山選手の場合も、クラブを1本多く入れてしまったという状況は変わりません。ただ、最初に気付いたのが、ララ選手の場合はキャディでした。
直感的にマズいと思っての行動だとは思いますが、プロを守ろうとして起こした行動が、”失格”という最悪の結果をもたらしてしましました。キャディに非があるのはもちろんですが、ララ選手にも反省すべき点が多々あるように感じます。
キャディが解雇されてしまったのは致し方ない状況ですが、なんだか気の毒ですね。
さて、大山選手のケースですが、彼女の場合は自身で気づいたもののすでに12番ホールまで消化していたので、かなり動揺したと思います。しかも当時全盛期の彼女は、前週・前々週と優勝しており、3週連続優勝が懸かる注目の試合でした。
本人も相当意識していたと思いますが、クラブが多いと気付いた時の対処がもっとも素直で最善だったことが、この2件のケースの明暗を分けたと思います。実は大山選手のこの試合でのキャディは、ゴルフ場勤務のハウスキャディで、自責の念からキャディ辞退を申し出ましたが、大山選手はそのままを起用することを希望しています。責任を感じているキャディの為にも、頑張ろうと奮起したそうです。
そして、見事予選を通過し最終日には-5の9位タイでフィニッシュしました。この時の優勝スコアが-9で、4打罰を受けた大山選手とは4打差でした。ゴルフでは、タブーの一つですが「もし~だったら」を感じさせてしまう結果ですね。大山選手の見事な対応と精神力の強さに脱帽です。
終わりに
クラブ1本を通じて、プロとキャディの関係を感じさせる2つのケースを見てみましたが、いかがでしたでしょうか?非常に似たケースながら、後味に相当な差が出ています。ゴルフは審判員がいない、自分でジャッジする特殊なスポーツです。
だからこそエチケットとマナーを重んじる、紳士淑女のスポーツといわれるのです。ゴルフも正直が一番ですね。