リオ・オリンピックまで約2ヶ月。スポーツニュースなどで各競技の日本代表の話題が多くなってきましたね。112年ぶりに正式競技に復帰するゴルフも誰が代表に決まるか、気になるところです。ミーハーを自認する”へたれゴルファー”の私も、毎週トーナメントをチェックしながら、有力選手の動向をじっくり見守っております。
今回のオリンピック代表選考について、簡単に言ってしまうと日本の場合は男女とも世界ランキング上位2人が出場できるらしいですね。現在、男子は松山英樹プロ、女子は野村敏京プロが有力ということですが、問題は男女とも二人目。男子は池田勇太プロが一歩リード、女子は宮里美香プロ、大山志保プロ、渡邉彩香プロ、鈴木愛プロなどの争いとなっています。正式決定は7月11日。残り一ヶ月ほどですが、活躍次第では誰にでもまだチャンスはありそうです。最後まで目が離せないですね(女子はとくに厳しい戦いです!)。
ところで、この有力候補のなかに“あの二人”がいないのが寂しくありませんか。そうです、宮里藍プロと石川遼プロです。
数年前にオリンピックでゴルフが正式種目になると聞いてまず思ったのは、ぜひ藍ちゃんと遼くんに出場してほしいということ(敬称略は親しみの証ということでご勘弁を!)。二人はゴルフ界にとっていろいろな意味で特別な存在だし、華やかさという部分でも申し分ない。まさにオリンピックのようなスポーツの祭典にふさわしい選手だと思うのです(時代を切り拓いた不世出のスポーツヒーローですしね)。
みなさんご存じだとは思いますが、その偉業をあらためて軽くおさらいしましょう。
藍ちゃんは高校3年、アマチュアの時に出場したプロのトーナメントで優勝後、すぐにプロ宣言。2004年5勝、2005年6勝としながらも全盛期の不動裕理プロがいたため。賞金王を取れませんでした(不動さん、凄すぎでした)。ですが、すでに世界に目を向けていた彼女はすぐにアメリカへと主戦場を移します。
アメリカLPGAのQTでダントツのトップ合格をした藍ちゃんでしたが、その後、あれほど苦労するとは誰も思いもしませんでしたよね(QTは2位に12打差ですから…)。初優勝まで4年という長い時間がかかったことについて、彼女の言葉があまりにも印象的でした。
「これが私の優勝までの時間のかかり方なのかなって思いました」
なんとも勇気づけられる言葉。上手くいかなかった、結果が出なかった自分の時間をこんな言葉で表現できる藍ちゃんがとても素敵に思えましたね(「何も焦らないでいいんだよ」と言われているようで…だいぶ年下ですが、人生の師匠です)。
初優勝後の翌年には、年間5勝を挙げ、一気に世界ランキングNo.1に駆け上がりました。ここ数年は調子を落としていましたが、3月に久しぶりに3位に入り、復調の兆しは見せていますね(世界ランキングを70位近辺まで一気に上げた時には、もしやオリンピックもありかと思ったんですが…)。
そして、遼くん。藍ちゃん以上の早熟ぶりでした。高校1年生(15歳)でプロトーナメント優勝。そして16歳で最年少プロ、18歳で史上最年少賞金王になり、中日クラウンズでは当時の世界最少スコアを達成。記録づくめで突っ走り、漫画や小説でこんなスーパーヒーローを描こうとしても、あまりにも非現実的に思えてしまう、なんというかフィクションを超える存在でした。この勢いなら20歳でマスターズ優勝という本人の夢の達成もあるんじゃないかと思うぐらいに。
でも、世界はそこまで甘くなかった…。藍ちゃん同様、苦労していますね。松山英樹プロとのライバル関係もあり、活躍度合のコントラストで少し影が薄いところもあります。でも、去年もアメリカPGAでしっかりとシード権を奪取、スポット参戦の日本ツアーで2勝。それもひとつは最終戦のメジャーでの優勝。24歳のプロとして少しも下を向くところはありませんよね(というよりも十分にアメージングです)。ぜひ、アメリカで優勝し、藍ちゃんのような言葉で、日々疲れ切っている中年へたれゴルファーを勇気づけ、泣かせてほしいものです。
おわりに
若くして華々しくプロデビューし、過度な注目とプレッシャーの中でも誰もが驚くような予想をはるかに上回る結果を出してみせた二人。ゴルフ人気を復活させ、より多くの人が楽しめるスポーツとしてゴルフを認知させたのが、藍ちゃんと遼くんなんですよね(その輝きは今も変わりません!)。
今年のオリンピック出場は厳しそうな二人ですが、彼らに本当に出場してほしいのは日本で開催される東京オリンピック。絶好調の二人が東京で活躍する姿をぜひ見たいんです。中年へたれゴルファーの”夢”ですね。