愛ちゃんの“コースデビューまでにやっておきたい7つのこと”を聞いて、自分にもできることがないかを考えてみた。どう考えても愛ちゃんのようなポテンシャルは僕にはない。国体レベルのソフトボールプレーヤーとは、そもそも身体能力の高さが違うと思う。
そうは言っても、やっぱりすんなりと負けるのはつまらない。ただ、ショット力では勝負にならないような気がする。それなら、短いアプローチやパッティングか……と考える。いや、アプローチはすでに撃沈気味だ。自分なりに努力してきたつもりだが、どうも安定しない。あまりにも安定しないので最近では9番での転がし専門だ。ダフったり、ざっくりしたりという心配がかなり減るからだ(それでもダフることがあるのがゴルフの恐ろしいところでもある)。そうなると残されている道はパッティングということになる。以前、編集長のジャンボさんにこんなことを言われた。
「タジィは精神的に弱いところがあるからな。3パットの後のドライバーがブレブレとかな。だから、パッティングの練習をもう一度しっかりしといて損はないぞ。1メートルだけしつこくやればいい。1メートルに自信がつけば、長いパッティングが怖くなくなる。しつこい性格を生かせるから簡単だろ」
ところが、ジャンボさんに言われてパッティング練習を始めたものの、その時は2週間でやめてしまった。その理由はといえば、単にまだまだ尻に火がついてなかったからだろう。愛ちゃんのスイングを見て度肝を抜かれたし、パッティングの大切さはジャンボさんに聞いてわかったつもりだったが、忙しさにかまけてやめてしまったのだ。
しかし、今度は愛ちゃんのコースデビューがそこまで迫っている。彼女の進化のスピードは僕の経験なんか問題にしない。きっと平気で僕のスコアをぶち抜いていくだろう。だから、もうやるしかないのだ。
まずは3パット撲滅のため、パッティング練習もさることながら、パッティングについて一から勉強する必要があると感じた。そこで、僕はケーシーに相談したのだ。
「なるほど。いいだろう。いろいろと一気に詰め込んでもタジィは忘れてしまうだろうから、愛ちゃんのように7つのポイントを考えよう。2日間待て」
ケーシーはそう言ってくれた。そして、2日後にメールで送られてきたのが来たのが、「3パット撲滅のための覚えておきたいパッティングの7つのポイント」だ。
3パット撲滅のための覚えておきたいパッティング7つのポイント
スパット(目印)に向かって打つ!
パッティングではカップばかりを見て打つのではなく、スパットの上を通して、予想したラインに乗せること。ショートパットでも近くのスパットを通すようにすればより精度は上がる。15メートル以上のロングパットなどは2つ以上のスパットを想定することでこれまでよりずっと楽になる。
始動の前にソールを小刻みに動かす!
世界で活躍する松山選手はパッティング時にパターを小刻みに上下に動かしている。なぜか。それは動きを止めた状態からではなく、少しでも動いた状態からパットを打とうしているからだ。完全に止まった状態から打つと余計な力が入り、パンチが入ったり、ストロークが安定しなかったりする。しかし、わずかな動きを与えることで始動しやすくなるのだ。
ラインの法則を忘れるな!
少なくとも以下の法則だけは覚えておくこと。
切れやすい | 切れにくい | |
傾斜 | ある | ない |
上り下り | 下り | 上り |
硬さ | かたい | やわらかい |
芝目 | 順目 | 逆目 |
時間帯 | 午前 | 午後 |
芝目の鉄則は頭に入れておけ!
芝目も3パット撲滅には大切なポイントだ。下りの順目で打ちすぎると大オーバーというひどいことになるし、逆目の下りはしっかり打たなければ、さらに下りが残ることがあるからだ。
ロングパットは上りを残す!
3パット撲滅のために考えることは常に上りのパッティングを残すということ。カップ周辺の傾斜を確認しつつ、上りが残る賢い外し方を考えて、1パット目を打つことだ。
順目を見抜く! |
山から海へ向かって順目(富士山から逆の方向へ順目など) |
川や池のある方、水の流れる方向へ順目 |
人が歩く方向へ順目(次のホールへ向かう道など) |
下りの速いラインで弱気はダメ!
下りの速いパットでひどい目に遭うことはよくある。怖がって弱気になると打ち切れずにさらに下りが残る。そうならないようにただ寄せようとするのではなく、上りが残るようにオーバーさせるつもりで打つことだ。オーバーすればその軌跡も確認できて返しのパッティングが楽になる。
パッティングを楽しむ!
パッティングを恐れないことだ。パズルのように、ゲームのように楽しむことだ。ロングパットなら、ボールの通るルートを判断し、どのスパットを通すというのを考えるのは実は戦略的で面白いことなのだ。
僕も雑誌や本やネットなど、いろいろなところでパッティングについて学んできたつもりだが、つい全部覚えようと欲張って結局コースではそのほとんどが頭から抜け落ちてしまう。だからまずは、このケーシーの7ポイントを受験生のようにしっかりと頭に入れてラウンドにのぞみたい。
もちろん、基本的な1メートルのパッティング練習も再開するつもりだ。それにしてもケーシーは実際にはゴルフをやらないのになぜこんなにも詳しいんだろうか…
つづく