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ゴルフ小説|こちら港区ゴルフィ編集部 第9話 ~ケーシーとゴルコンで使えるゴルフのお話~

なんと、今日は目が冴えている。信じられない。編集部にいるのに妄想に陥らない。なぜか、考えてみた。編集長のジャンボさんによる体幹トレを日々、実行しているからだろうか。さらに、しっかりとした前傾姿勢のアドレスにも腹筋が大事だと愛ある再レクチャーを受け、モチベーションも上がってるからだろうか。
と言っても、まだ4日ぐらいだけど…。

ところで、ゴルフィ編集部、実はもうひとり、”人”がいる。猿でもなければ、犬でもない。たしかに、”人”がいるのだ。変な言い方だが、存在感が独特で、人間っぽくないところもあり、そんな言い回しになってしまう。その人は、サイトのデザインやちょっとした変更などをやってくれるウェブデザイナーだ。とはいえ、変更が毎日あるわけじゃないから、他の部署の仕事を掛け持ちでやっている。

僕らはその人のことをケーシーと呼んでいる。なぜ、ケーシーか、その理由を僕は知らない。ジャンボさんに尋ねると、「本人に、自分で聞きな」と言われた。ケーシーは変わった人でおそらく僕より年上のはずだけど、「さん」と敬称付けされるのが嫌いだ。僕が「ケーシーさん」と読んだら、小さな声で「ケーシーでいい」と言うのだ。

ケーシーは無口だ。無口だから人となりもよくわからず、私的なことを聞ける雰囲気じゃない。この2年間、昼食さえ一緒に行ったことがない。ということで、ケーシーというあだ名の由来もいまだに聞けていない。そして、人間っぽくないのはその容姿。メガネをかけ、いつも金色のジャケットを着ている。イメージ的には、『スター・ウォーズ』のC3POだ。金色の細いロボット。想像してみてほしい。動きもあんなイメージ。でも、”人”なのだ。

ジャンボさんはケーシーをとても信頼しているように思える。2人は時々2時間ぐらい、ボソボソと話をする。はたから見れば、本当にボソボソという吹き出しが見えそうな感じなのだ。おそらく仕事の話だろうが、僕が参加を促されたことは一度もない。ケーシーと話す時のジャンボさんは抑制をきかせた低い声で話す。全くいつもと違う雰囲気だ。そのことについてジャンボさんに尋ねると、「時が来ればわかる」と答える。まったく意味不明だ。

ケーシーの仕事ぶりは完璧だ。お願いしたことは100%確実にやってくれる。というか、言葉足らずの僕の説明をきちんと咀嚼して、新たなアイデアを加え、150%の仕上がりとなるのだ。

ちなみに、愛ちゃんもケーシーと呼ぶ。僕と同じように「ケーシーでいい」と言われたらしい。愛ちゃんの性格なら、「なんでケーシーなんですか? なんで敬称略なんですか」とズバッと言いそうだが、今のところ尋ねてはいないようだ。愛ちゃん流の社交術なのだろうか。

で、なんでケーシーの話かというと、ゴルフの知識が半端ではないという事実が最近、発覚したからだ。
実はジャンボさん同様、ガルシアのファンだったらしく、今年のマスターズにえらく感動し、僕や愛ちゃんの前で語り出したのだ。

「今年のマスターズ、15番グリーン横のパトロンは幸せだった。最終日、完璧なセカンドからのガルシアのイーグルを観ることができた。優勝者のイーグル。あんな素晴らしい体験はなかなかない。全英オープンが1860年、全米オープンが1895年、全米プロが1916年、そしてマスターズが1934年にスタート。しかし、最も後発のマスターズが世界一のトーナメントである理由は、やはりオーガスタでやること。オーガスタでしかこの素晴らしい体験が実現しないことだ」

とまあ、こんな具合でマスターズまわりの話からその後2時間ほぼ一人で話し続けた。まるで本を朗読しているような淀みなさで話をする。数字に強いらしく、データ的な話に加え、ゴルフトリビアのようなエピソードも語ってくれた。例えば……。

1. 日本の女子プロの平均ストローク、1996年賞金ランキングベスト10の平均は73.17。それが、2016年は70.85。道具の進化や身体能力の向上など、要因は様々あると思うが、驚異的な伸びだ。
2. 宮里優作の劇的勝利の記憶も新しい伝統の中日クラウンズ。日本人34勝、外国人24勝で日本勢優勢だが、ここ7年は日本人2勝、外国人5勝で追い上げられている。
3. 「華麗なるギャツビー」で著名なジャズエイジの文豪スコット・フィッツジェラルドはゴルフ好きで、愛するゼルダと出会ったのもゴルフ場だった。

……ということで、これからゴルコン(ゴルフコンパ)に行くときはケーシーからネタを仕入れてから行こうと強く決意した僕だった。 ちなみにケーシーは、もちろん日本人である。

つづく

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