“アプローチ”といったら、どのような打ち方や球筋を思い浮かべますか? アプローチというと、距離の3~4割を上げて残りの6~7割を転がすピッチ&ランをイメージする人が多いかもしれませんし、それがアプローチの正しい打ち方(攻め方)の一つであることは確かでしょう。そのイメージを出しながら練習場でアプローチの練習を繰り返すのも大切な反復練習ではあります。
ただし、そのように打たなければならないという固定観念は持たないでください。ピッチ&ランは、あくまでアプローチの中の一種でしかないのです。
実際のラウンドで起こりそうな場面
145yのPAR3ショートホール。7Iで打ったが、当たりが悪くて手前にショート。左足上がりでエッジまでは5yほどで、エッジからピンまでは10y。58度のウェッジでアプローチ。エッジから3~4yのところに落とせたがランがほとんど出ず大ショート。
この場合は、3:7のピッチ&ランの法則を無視した方がいいでしょう。グリーンはやや砲台で、手前からは左足上がりという状況は多くのゴルフコースで見られます。左足上がりなのですから、当然ボールは上がりやすい。とすれば、ランが思ったよりでなかった、ということになるのは自明の理です。
どうしてもピッチ&ランにこだわりたいのなら、52度のウェッジやPWで打つべきだったでしょうが、左足上がりという”ライ”のままに、キャリーで攻めるアプローチでいいのです。キャリー7、転がり3と計算するのが状況としては自然な攻め方なのですから、”3上げて、7を転がす”というこだわりを持つことはないでしょう。ライに逆らわない攻め方の選択をすることが、ラクでミスを減らすことになるのです。
原因と解決策
このように、グリーン周りのアプローチで最も注意を向けてほしいのは”ライ”です。フルショット以上に、ライによってアプローチは千変万化! ボールを上げやすかったり、止めやすかったり、逆に上げにくかったり止めにくかったり。スコアづくりに欠かせない状況判断が求められます。
ボールの置かれた”ライ”をよく見て、状況に合った攻め方をしてください。ここでの”ライ”とは、左足下がりだとかつま先下がりだとかだけではなく、ボールが止まっているところの芝の状態も指しています。
フェアウェイ
・きれいな芝の上にボールがある
・砂混じりの芝の上にある
・芝が薄く砂や土が見えている
ラフ
・芝に浮いている
・芝に沈んでいる
・順目
・逆目
砂混じりだったり、芝が薄かったりする
パッと思いつくだけでも、これだけの状況が想定できます。 をつけたライであればボールのコントロールがしやすくミスを考えずに済みますが、 のライでは「打ちにくいなぁ、ミスしそうだなぁ」と思いながらのショットになるのではないでしょうか。
ライの例が次の写真です。
ボールをクリーンに打とうとしてトップするミスが考えられる状況です。また、それをいやがってスイングがゆるみ、ヘッドが少しでも手前に入ればダフりになります。とても難しい状況です。ライの状況に逆らわないアプローチをするなら、バンカー越えでない限り、ボールを上げることをあきらめてロフトの少ないクラブでチョコンと転がすのが最もリスクが少ないでしょう。
おわりに
58度のウェッジを開きバンスを利用して打ち止める打ち方はありますが、たいへん高度な技術が必要です。そのようなことをやって大きなミスをしてしまい、ダボ・トリを打っては元も子もありません。難しいライであることを認めて、寄らなくても仕方がない、という”心の余裕”を持ってください。このような”心の余裕”を持つことは、冷静な自己分析をしていることになるので、自分のゴルフを見直すことにもつながるのです。