日本のゴルフ場でよく使われている芝といえば、高麗芝とベント芝ですよね。2グリーン制を導入しているコースでは、この2種類を揃えている所が多いのではないでしょうか?ティフトン芝(バミューダの一種)など別の種類を採用しているコースもありますが、ほとんどのコースは高麗芝かベント芝を使用しています。
では、この2種類の芝の特徴とは、どんなものなのでしょうか?グリーン攻略のためにもおさらいしておきましょう。
高麗芝
グリーンに使用される高麗芝は、姫高麗という種類になります。日本芝(和芝)の一種です。芝そのものの特徴としては、暑さに強く寒さには弱いです。(暖地型)冬になると芝は枯れて茶色くなってしまいます。ですから、寒い地域とは相性が悪く、北海道ではほとんど使われていません。主に西日本を中心に全国各地で使われている芝です。
そして葉は細く硬いので、摩擦力が強くなります。また芝が生えている方向と反対からボールを転がすと、抵抗が大きいので「芝目がきつい」という表現をされます。逆目からパッティングすると、カサカサと音を立てて転がっていくようなイメージです。
LPGAツアーでは、最終公式戦であるリコーカップの舞台である宮崎カントリークラブが高麗芝のグリーンです。本来は高速グリーンには向かない種なのですが、乾燥に強い特性を活かしながら、芝にダメージを与えない程度に短く刈り上げることで、速く芝目のきつい高難度のグリーンに仕上げています。
古くから日本で使われている芝ですが、メンテナンスが大変であるのに冬になると枯れてしまうので、色が悪くゴルファーに好まれない傾向にあります。さらに、近年の1グリーン化の波によって、後述するベント芝にその座を奪われています。
ベント芝
ベント芝は西洋芝(寒地型)の一種ですが、亜種が多くベント芝の中でもさらに細かく分類されます。最も普及したベント芝は「ベントグラス」と「ペンクロス」になりますが、その後改良が重ねられ、『ニューベント』と呼ばれる「ペンA2」「007」などの改良種が次々と登場し、グリーン改修の際などに新たに採用されています。
このように同じベント芝でも微妙に特性は異なるのですが、基本的な特徴としては、冬の寒さに強く、暑さには弱い芝です。沖縄県ではほとんど採用されていませんが、それ以外の全国各地で使われており、最も普及しています。葉は柔らかく細めで、葉の密集度も濃いので美しい緑色を作りだします。
あまり芝目が強くないので、傾斜通りに転がってくれるイメージです。芝を短く刈っても柔らかいため摩擦が少なく、ボールが素直に転がってくれますので高速グリーンを作りだすのに適した芝種と言えるでしょう。暑さに弱いのが難点でしたが、改良によって克服されつつあります。
JGTOツアーでは、「三井住友VISA太平洋マスターズトーナメント」を開催する太平洋クラブ御殿場コースが「ペンクロス」に「ペンA2」をインターシード(少しずつ品種転換)することによって、毎年12~14フィート近い驚異的なグリーンスピードを実現させています。
このようにベント芝は、改良に改良を重ねて日本の風土に合った芝種へと変化しているのです。
終わりに
簡単に日本の多くのゴルフ場でみられる高麗芝とベント芝の特徴についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?高麗芝でも、ベント芝でも、そのグリーンの特徴を感じられたら、いつもよりグリーンが”読める”かもしれません。
最後にお願いがあります。グリーンキーパーさんたちが丹精込めて仕上げたグリーンですので、それを使うプレーヤーはボールマークの修繕をお忘れなく!