“パットイズマネー”という言葉があるように、パターは初心者の方からプロゴルファーまでスコアの約4割を占めるクラブでもあります。
プロゴルファーのパッティングスタイルを見ていてもわかるように、人それぞれフォームや打ち方は千差万別で打ち方に正解はありません。
しかし、これからゴルフを始める初心者の方はパッティングの距離感や方向性を身に付けるため、パターの基本を学んで練習しましょう。
【パター】基本の打ち方や種類を徹底解説します
私が「パターの基本は何?」と聞かれたら、「自分が決めた方向に決めた距離を打てること」と答えるでしょう。
統計によると2010年PGAのプロゴルファーの7フィート(約2m10㎝)のカップインの確率は56%、16フィート(約5m)になると20%です。
パターのカップインの確率を知ると、パターはカップに入れる事よりもカップに寄せる事の方が大切だという事がわかります。
そのためにも決めた方向に決めた距離を打てるパッティングを習得しましょう。
ボールの位置は左目の真下
パターのボールの位置はプロやコーチによって微妙に違い正解はありません。
タイガーウッズは著書でパターのボールの位置は目の真下でスタンス中央より5㎝ほど左に来ると語っており、その理由としてパターのラインが見やすくなるためと書いています。
PGAのゴルフ教本では“パターのボールの位置はスタンスの中央より左にし、目線の下にくるようにします”と書かれています。
個人差はありますが、パターのボールの位置に迷った時は“左目の真下に置く”と覚えておきましょう。練習では床に手鏡を置いて左目をボールに見立ててアドレスしてみましょう。
自分の好きなグリップでOK
パターのグリップは基本的な握り方はありますが、プロでも人それぞれ少しずつ違います。
主流はタイガーウッズ、松山英樹選手を筆頭とした逆オーバーラッピングで、ショットと同様左手が上、右手が下にくる順手で握り左手の人差し指を右手に乗せるグリップです。フィーリングが出しやすいと言われています。
次に、ジョーダンスピース、今平周吾選手が採用するクロスハンドグリップで左手が下、右手が上の逆手で握ることで肩のラインを水平に構えやすく軸が傾きにくいのでパターヘッドを真っ直ぐに振りやすいと言われています。
いろいろなプロのグリップを参考に自分に合ったグリップを見つけましょう。
ショートよりもオーバーさせる
2021全米プロチャンピオン、フィルミケルソンを指導したパターコーチ、デーブぺルツの理論では“カップを43センチオーバーするように打つと最もカップインの確率が高い”とパッティングの検証をしています。
特にショートパットを打ち切れずにショートさせて外すほど悔しいことはありませんよね。2mまでのショートパットは43cmオーバーさせて打てる練習をしてみましょう。
2mを超えるパッティングは確率のことを考えるとオーバーしすぎて3パットを招く恐れもありますからカップに寄せることを優先に練習するといいでしょうね。
パターは3種類あります【特徴あり】
パターにはいろいろな種類がありますが、パターのヘッド形状で大きく分けると “ピン型” “マレット型” “ネオマレット型”に分かれます。
ゴルファーの好みやニーズに合わせてメーカーが作ったものですが、人それぞれ構えやすさや打ちやすさ、タッチが合わせやすい、打感が好きなどの感覚がありますので、自分に合ったものを選びましょう。
ピン型
ピン型とはPINGというメーカーの“ピンアンサー”を原型にしたパターの総称で四角い形状のヘッドにトゥ、ヒールと重量配分されているのが特徴です。
ネック形状によっても性能は変化しますが代表的なカギ型のクランクネックが取り付けられたモデルは適度にミスヒットに強く、ストロークを自分でコントロールし易いバランスの良さが魅力です。
フェースを開閉してストロークするプレーヤーに人気があり、タイガーウッズの使用するスコッティキャメロンの“ニューポート2”が非常に有名でタイガーに憧れる選手が初めに手に取るモデルでもあります。
マレット型
マレット型はカマボコ型とも呼ばれ、ヘッドの後方が丸くて後ろにふくらんだような形状のパターです。
ネック形状によっても性能は変化しますが、代表的なベントネックが取り付けられたモデルはフェースバランスタイプでフェースの開閉を抑えたストロークと相性が良く、パターヘッドを真っ直ぐに動かしてストロークしたいプレーヤーに好まれるモデルです。
谷口徹選手が長年愛用しているオデッセイの“ホワイトホット#5”が有名で多くのプロやアマチュアの方に愛用されています。
石川遼選手が長年愛用している“ホワイトホット#9”はL字型のマレットで寛容さとコントロールを融合したモデルです。
ネオマレット型
ネオマレット型は大型マレット型と呼ばれ現在では大型パターの総称として用いられています。
パターを大きくすることで慣性モーメントを大きくし打点がズレた場合のミスの幅を小さくすることや、より直線的にパターヘッドをストロークし易いことが特徴です。
そのため多くのネオマレット型はフェースバランスタイプを採用し、オデッセイの“2ボール”シリーズやテーラーメイドの“スパイダー”シリーズが有名です。
最近ではネオマレット型にショートスラントネックを採用することで操作性能がアップし、多くのプロゴルファーの支持を集めています。
【正解はありません】自分に合ったパッティングスタイルを確立するべきです
一昔前までは「パットに型なし」と言われ、感覚やイメージが主となるパッティングは自分で練習してスタイルをつかむものだと言われていました。
実際にグリーン上でボールを転がしタッチの強弱や距離感をつかむことが感性を磨くうえでも大切です。
しかし、現在では“パターフィッティング”が主流になり自分のパターのアドレスやストロークを科学的に分析できる時代に入りました。
統計ではショートパットが苦手な人はターゲットにフェースをセット出来ずに方向性に問題を抱えているケースが多く、ロングパットが苦手な人はストロークの再現性が低く芯を外すことが多いのでタッチが安定しないケースが多いのだそうです。
自分のパッティングスタイルを確立するために“フィッティング”を受けるのもひとつの手段ですね。
まとめ
パターの打ち方や種類は千差万別ですが、基本的な打ち方やボールの位置、グリップの持ち方を知り、自分に合ったパターを選ぶことでパッティングの向上につながることでしょう。
パターはドライバーやアイアンに比べて地味で根気強い練習が必要になりますが、正しい練習を繰り返すことでプロゴルファーにも劣らない技術を習得できる可能性があります。
家の絨毯で転がすもよし、パターマットを購入して練習するもよし、まずはパターを持ってボールを転がすことが大切ですね!