ゴルフを楽しむようになりゴルフ歴〇年となってからも、知らないゴルフ用語が出てくることがたまにあります。例えば「最終ホールのアリソンバンカーはキツかったなぁ」などと話を振られて、よく分からないまま相槌を打ってしまったり…今さら「アリソンバンカーってなんですか?」とは聞けなくなってしまった方も、実はいるのではないでしょうか。
今回は、色々あるバンカーの名前や、種類について取り上げてみたいと思います。
アリソン氏が作ったから、アリソンバンカー
イングランド出身のゴルフコース設計士だったチャールズ・ヒュー・アリソンは、東京ゴルフ倶楽部朝霞コース設計のため、1930年に来日しました。日本滞在はわずか2~3ヶ月程度だったそうですが、その間に東京ゴルフ倶楽部朝霞コースだけでなく、廣野ゴルフ倶楽部・川奈ホテル富士コース・藤沢カントリー倶楽部を設計しました。
さらに霞が関東コース・鳴尾ゴルフ倶楽部・茨木カンツリー倶楽部東コースの監修や助言を行ったとのことですが、驚きですね。残念ながら、東京ゴルフ倶楽部朝霞コース・藤沢カンツリー倶楽部は現在はありませんが、コースの名前を聞いただけでもその日本での功績と手腕がうかがえます。
そして、彼の設計したコースの特色の一つとして、深くてあごが高く、法面が反り立ったバンカーがあり、それは当時の日本のゴルフ場には衝撃的でした。そこから「アリソン氏が設計した、深いバンカー」→「アリソンバンカー」という名前が広まったようです。
ですから、この呼び名は日本独自の名称であり、バンカーの種類を表すものではありません。またアリソン氏は、日本のコース設計者にも多大な影響を与えており、日本のゴルフ場設計の第一人者である井上誠一氏の設計したコースにも、”アリソンバンカーの特徴”がみられます。
現在では広義で、深いバンカーを”アリソンバンカー”と言うようになっていますが、このようなゴルフの歴史を知ってみると、また違った角度からゴルフが楽しめると思います。
アリソンバンカーの攻略と注意点
アリソンバンカーはアゴが高く、脱出するだけでも非常に難易度が高いです。特にアマチュアゴルファーでバンカーが苦手な方にとっては、2打3打かけてやっと脱出できたなんてこともよくあります。
ではどうやって攻略するのか。
実はこれは簡単で、他のバンカーと同じです。バンカーの深さとアゴの高さに惑わされてはいけません。基本的なバンカーショットを平常心で打つだけなんですが、前述したように深さと高さに惑わされ、力んだりタイミングが早くなったりしないよう注意をしてください。
いつもどおり落ち着いてバンカーショットすれば1打で脱出可能ですよ!
小さくて深いバンカーは、ポットバンカー
ポットバンカー(Pot bunker)のPotは、壺や鉢といった意味があり、その名の通り、基本的には小さくて深い、容器のような形のバンカーのことを指します。元々は動物の穴などをハザードとして利用したものだったので、その名残から、現在もリンクスのコースなどによく見られます。
英国リンクスコースには欠かせない、ソッドウォールバンカー
ソッドウォールバンカー(Sod wall bunker)は、芝が張ってある土をそのまま層のように積み重ねたもので、本来は風雨等によるバンカーへの浸食を防ぐために行われた手法ですが、現在は景観的な意味合いの方が大きくなっているようです。
日本でもソッドウォールバンカーがあるのか調べてみたところ、旧軽井沢ゴルフクラブで見つけることができました。また、ソッドウォールはポットバンカーの法面に使われることも多いので、「ソッドウォールのポットバンカー」のように、組み合わせて言うこともあります。
最後に
こうした特徴あるバンカーが日本で少ないのは、なんといっても費用と維持の問題です。施工にもかなりの費用が掛かりますし、バンカーの法面は芝刈りの機械では刈ることができませんので、人の手で行わなくてはなりません。つまり管理も難しいのです。
ですから、こういったバンカーに遭遇したときは、その造形美の裏にある苦労にも目を向けてみてください。ラウンドをする上で、プレーヤーの悩ましい存在であるバンカーですが、ラウンドする前に設計者の名前をチェックし、名物バンカーに対峙してみるのも面白いかもしれません。