一度は聞いた事があるかもしれない”交感神経“と”副交感神経“という言葉。自律神経に関わるキーワードなのですが、実はスポーツで自分のパフォーマンスを出し切るのにとっても重要な要素なんです。つまり自律神経がコントロールできれば、いつも以上のパフォーマンスが出せるかもしれない。今回はそんな自律神経についてご紹介します。
自分の意志では動かせないのが自律神経
自律神経とは呼吸器や循環器などの内臓や血管などの働きをつかさどっている神経の事です。臓器や血管などは自分の意志で動かすことができません。お酒を飲みすぎたからと言って、「肝臓を活発に動かすぞ!」というコントロールはできません。こういった内臓のコントロールなどを担うのが自律神経の役目なのです。そして自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの神経にわけることができます。この2つの神経は全く正反対の働きをして、体の動きをサポートしています。
ゴルフには交感神経優位が良い?
交感神経は、主に身体が活動的になる昼間に活発になる神経です。起きている時間で体を動かしている時や仕事をしているとき、勉強、家事全般をしているときに活発になります。交感神経が優位な状態になると心拍数が高くなって血管が細く収縮し、すぐに動き出せる状態になります。
これは人間がまだ野生の動物だったころ、敵と遭遇した際にすぐに戦ったり逃げ出したりすることができるように備わった動物本能なのです。ここまで聞くと、「ラウンド中は常に交感神経が優位になるような状態を作ればいい!」と思うかもしれません。しかし、交感神経が優位な状態が続くと、筋肉が収縮し、体の末端に力が入りやすくなります。
これはスイング中の”力み” につながり、ミスショットの原因になります。さらにはスイングのリズムも早くなり、ミスを誘発します。ミスをすると興奮状態に陥り、さらに交感神経が優位な状態となってミスの悪循環に陥る可能性もあるのです。
また、交感神経が優位になり興奮状態にあるときは、冷静に判断ができなくなるおそれもあります。自分の置かれた状況を冷静に把握できないと、ミスを取り返すため無理なマネジメントをしがちになります。番手の選択、ライや風の状況などの判断を見誤ったり、ピン位置など必要な情報を考慮せずにショットをしてしまうのです。ラウンド中は交感神経が強くなりすぎず、副交感神経とのバランスが取れた状態を目指しましょう。この状態がもっとも高いパフォーマンスを発揮するといわれてるのです。
ラウンド中のストレス軽減が重要
思った通りのショットが打ててもアンラッキーなミスになったり、思いもよらぬ大たたきをしてしまうと一気にストレスがかかり、身体は緊張状態に陥ります。そうなると交感神経が優位に働き身体全体の筋肉が硬くなりやすくなります。そういった時には意識的に深呼吸をし、「前のミスによって自分はいまストレスと感じている」と自覚をするようにしましょう。そうすることで自分の状態を客観視することができ、必要以上にストレスを感じにくくすることができます。
さらに顔の表情筋を緩ませることで、緊張状態を和らげることもできます。
今シーズン米女子ツアーで5勝を挙げ賞金女王を争うアリヤ・ジュタヌガーン(タイ)は、メンタルトレーナーのアドバイスでスイング前のルーティーンに”笑う”という行為を取り入れています。意識的に笑顔を作ることで表情筋を緩ませ、緊張状態を作らないようにしているのです。
自律神経のバランスは朝起きたときのものが、その後1日続くと言われています。そのためラウンドの前からの準備が好スコアを出すカギを握っているのです。まずは朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴び水を飲みましょう。日光を浴びると体内時計が「朝になった!」という事を感知して活発に働きはじめます。水を飲むのも同じで、口から物を入れて内臓の動きを活発にして身体が動きやすくなる準備をさせる効果があるのです。
また、着替えなどの準備は前日までに済ませ、時間に余裕をもって家を出るようにしましょう。これはストレスとなる要因を少しでも少なくするためです。
人間はストレスを感じると3時間程度は抜けないと言われています。「忘れ物がないか心配…」、「時間に間に合わないかもしれない…」というストレスを感じると、その日のティーオフまでにストレスが抜けきらず、冷静ない判断ができなくなる可能性があります。
ラウンド前に準備を済ませ状態を万全にし、ラウンド中に興奮状態に陥ったときは状況を客観視してリラックスをすると、自律神経のバランスが良くなりパフォーマンスを最大化することができるでしょう。