ゴルフ雑学

フェアウェイに正義はあるのか?|一目置かれるゴルファーのための講座

日本の多くのゴルフコースでは冬になると、急に風景が寂しくなってしまいます。休眠してしまう夏芝は茶色になってしまって、ゴルフコースは荒涼とした雰囲気に包まれるからです。それでも、グリーンだけは洋芝の場合は冬でも緑を保っていますし、夏芝のグリーンの場合も目立つように緑に着色するのでオアシスのように輝いて見えます。コースによっては、フェアウェイもメンテナンスをして、冬の寒い期間だけ芽吹く芝生の種を撒くオーバーシードをするコースもあります。

寒い季節は、芝生が薄くなって打ち辛いのでアイアンのミスショットが出やすくなり、冬ゴルフは難しいという説があります。確かに、ケースバイケースでラフのほうがボールが浮いたライになって打ち易かったりすることもあります。

こういうゴルフ談義は楽しいものですけれど、実際にラフを狙って打つのは簡単ではありません。少し曲がってしまえば、ラフを通り越して隣のコースやOBなどにボールが飛んで行ってしまうからです。結局、フェアウェイの広さに安心しながら フェアウェイのど真ん中に向かって打つのが理屈や理論を越えて正解なのです。

色が少なくて寂しいゴルフコースでも、刈り込んでボールを打ちやすくなっているフェアウェイはやはり特別です。さて、このフェアウェイという言葉は、ゴルフ用語として広く使われているように思っている人がほとんどですが、実はゴルフ用語としては定義されていないことを知っていますか?

ゴルフ規則の冒頭には、誤解がないようにゴルフ用語が定義づけられていますが、その中に『フェアウェイ』は出てこないのです。 ルール本文の中にも、フェアウェイは、たった1箇所にしか出てきません。

歴史を紐解くとその理由は大まかにわかります。一つはゴルフコースにフェアウェイというものが出現したのが比較的近代になってからだということです。ゴルフコースのような広大なエリアを一気に刈れるエンジンが付いた芝刈り機が普及したのは20世紀になってからで、どうやら、その時期までフェアウェイという言葉の意味することが今とは違うケースもあったからのようなのです。
もう一つは、フェアウェイという言葉の語源です。公明正大という意味のフェア(fair)からの連想で、そこに行ったら何ら不平等はないようなイメージをしているケースが多いですが、これは船乗りの用語がゴルフに転用されたものなのです。表面的にはわからなくとも、水面下に浅く座礁しやすい場所があるときに船を進めるには、水面下まで知り尽くした水先案内人が必要なのは古今東西変わりません。この水先案内人が導く座礁しないで行き来できるルートのことが”フェアウェイ”なのです。

船乗りの用語が輸入されて、広まって、定着するということは、現在でこそ、なんでもないことですが、少し前まではゴルフ発祥説論争などの影響もあって、船乗りの言葉というのが大きな抵抗になったのではないかと推測されています。輸入されてきた証拠になってしまうような要素は排除したいという心理が見え隠れするというわけです。

何気なく使っているフェアウェイという言葉にも、色々と物語があるのも、ゴルフの面白さです。知っていることでフェアウェイを常に使うためのプラスになるのか?という疑問がある人もいるかもしれませんが、ゴルフはメンタルのゲームで、深層心理が大きく影響することを忘れてはなりません。知り尽くしているという安心が自らのゴルフにプラスに作用することは、よくあることなのです。
公明正大という意味のフェアはゴルフに似合わない、という考え方もあります。ゴルフは自らが審判だという特性が証明するように、真っ正直なプレーヤーだけがプレーをするという前提が全ての土台になっています。だから、ゴルファーはフェアに振る舞うことが必要とされるのですが、残念ながらゴルフは理不尽な不平等に溢れています。そもそも、長い棒の先に付いた小さな面で、もっと小さいボールを打つというだけでも十分に難しいのに、ほんの少しずれただけで結果が大きく変わるという無謀さも加わり、更に、ゴルフコースには斜面と地面の固さという予測が難しい要素もあり、行く手を阻む妨害すら待ち受けているのです。

狙い通りのショットが必ず良い結果になるという保証はなく、失敗したショットのほうが結果としては良い場所にボールが止まることも多々あります。
ナイスショット=良い結果にならないゴルフは、フェアではない。ゴルフは限りなく不平等なゲームです。嫌ならやらなければ良いだけのことなのですけど、ゴルフはやめられません。フェアウェイは、目的地に着くために、困難があっても進まなければならない道です。文句を言っても何も始まりませんので、船乗りになったつもりでフェアウェイを狙い続けるのがゴルファーである限り正解なのです。

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