日本語には”敬語”という表現があります。目上の人に対するとき、相手に尊敬の念をこめるとき、自分とは”距離”のある人に対するときに使うものです。これを無視しては、社会で円滑な人間関係を築くことは不可能です。その場の空気、その時の相手に合わせた表現をする”敬語”は、洗練された日本文化といえるでしょう。
コミュニケーションに限らず、ゴルフでも“距離感”は大切です。特にパッティング。方向以上に”距離感”が大切なはずですが、まっすぐ思ったところに打ち出すことや、まっすぐヘッドを引くことばかりに神経が注がれていませんか。
たとえ、ねらった場所にボールを打ち出せたとしても、タッチによって曲がり幅は変わってきます。1.5mのパットで「うわー、切れると思ったのに全然切れなかった~」という人をよく見ますが、こういう人は1.5mの”距離”を1mオーバーで打っていたります。”距離”の近い相手なら「そら、切れんわ!」とつっこんで、笑っていられますね(笑)
私の友人でこんなことをよく言われる人がいます。「あれだけのスイングとショットができるのに、何で簡単に90を打つんだ?」この友人はH・Cが14なのですが、自分のH・Cの14を下回ってラウンドできることがほとんどありません。それどころか、ラウンドの大半で90を飛び越えてしまいます(笑) 友人には申し訳ないのですが、先日一緒にラウンドしたときの実例を紹介します。
「ああ~…そりゃスコアにならないよ」のパット例
410yのミドルホール。
ティショットは当たりが悪く190yを残す。セカンドはグリーン右奥目へ。エッジまで6y~7y。ピンがグリーン右奥なので、ふわっと浮く柔らかいアプローチをしないと寄せられない状況で、見事なロブショットで3m弱につけた。しかし、このPARパットを2m近くオーバーさせてしまい、ダボ。スライスラインの読みはよかったのですが、タッチが全く合っていないためまっすぐ通過していきました。
530yのロングホール
サードショットはグリーン手前のエプロンへ。そこから1mにつける。フック気味のラインだが、右カップ内側狙いか、ストレートで打てるようなライン。打つ前に本人もそうコメントしていたにも関わらず、押し出して入らず。おそらく、へろっとしたパットをしてカップ手前でクニュッと切れるイメージが頭をよぎったせいで無意識に押し出したと思われます。ラインよりタッチなのに…
すべき点は”距離感”
この友人、前半なんと! 24パットしました(笑) 完全に”距離感”を無視し、とにかくファーストパットは狙いにいく。初めがオーバーするものだから、返しはヘロヘロパットでカップ手前でクニュッとなっているのです。一緒に回っているメンバーは笑いながら「ナイストライ!」と言うものの、ノーカンパターを面白がって見ていました。
パッティングで一番に気にすべき点は、”距離感”です。”距離感”が合わなければラインもへったくれもありません。タッチでラインはずいぶんと変わります。タッチがくるっているからラインに乗せられず、自分のライン読みにも自信が生まれなくなるのです。
自宅のパターマットで練習することはとてもいいことなのですが、まっすぐ打つことだけ(・・)を練習しても実戦では役に立たないと感じる人も少なくないでしょう。まっすぐ打つ、まっすぐ引くことより、まずは”距離感”に意識を!
雑誌では様々な打ち方や注意点が紹介されています。たとえば、
・テイクバックよりフォローで距離感を出す
・テイクバックを大きめにとって、フォローをあまり出さない
・手先の感覚でパチンと打てば芝目に負けない
・右手重視のストローク
・左手重視のストローク
・逆ハンドでひっかけをなくす
・ハンドアップすればカチンと打つパンチが入りにくい
・パッティングは肩でストロークする
などなど。
このように、たくさんの方法が紹介されています。そして、そのすべてが正しいのです。ちなみに、今回登場していただいた私のパター下手な友人は、手先だけでパツンパツン打ちます(笑)1mでも5mでも10mでも、自分がタッチを出しやすい打ち方を見つけ、“距離感”が合うようにしましょう。