レディ・ゴルフを知っていますか?“ready-golf”と書きます。「レディ…… ゴー!!」のレディで、準備ができているという意味です。レディ・ゴルフは、準備ができている人からどんどん打って、素早いプレーで時短ゴルフをしよう、という意図の総称です。2017年から実験的に、国際的な大会でも採用されて、その効果を確認することになっています。
ゴルフがもっと広く普及する為には、18ホールにかかる時間を短くすべきであるという考え方は昔からありましたが、レディ・ゴルフの掛け声で一つの提案ではなく、目標になりつつあります。2019年にゴルフ規則の大改革が予定されていますが、その中にもレディ・ゴルフの概念を入れることが提案されています。
そもそも、ゴルフはマッチプレーという競技形式で始まって、ゲームとして進化してきました。遠方先打。遠いほうから順番にプレーするのは、マッチプレーのゲームの本質である要素の一部が定着したものです。とはいっても、ストロークプレーの場合は、遠方先打を守らなくとも違反にはなりません。プレーが速いゴルファーは、ほぼ例外なく、素早くプレーするハウツーを駆使してゴルフをしています。
自分のほうが先にプレーしたほうがスムーズだと判断すれば、「お先に」とプレーするしているわけです。「ゴルフは上がってナンボ。お説教のような話には意味がない」というゴルファーもいますが、そういう人にこそ、レディ・ゴルフは大切なのです。
“スコアが良い”だけが”うまい”ではない
ゴルフの魅力の一つは、成績が数字ではっきりと出ることです。100より99が優れていることは明白です。スコアは絶対的な評価だということを否定はしません。しかし、それだけで上手いと評価されないところが、ゴルフの奥深い面白さなのです。どんなに良いスコアで結果を残しても、ゴルファーとして嫌われるケースは世界中にあります。
いわゆるマナーが悪かったり、剥き出しになる人柄に問題があったりするわけですが、こういう基本的な部分をクリアしないまま、スコアアップしても上級者とは言えないのです。『基本的な部分』と書いたのは、誰でもできることだからです。誰でもできることをしないで、自分勝手にゴルフをすることは単なる『悪』です。どうせ上手くなるなら、誰からも文句を言われず、可能であれば『また、一緒にゴルフがしたい』と思わせるゴルファーを目指しましょう。
ゴルファーとしての危険信号とは?
スロープレーは最も嫌われるマナー違反です。何故なら、同じ組の人たちだけではなく、後方でプレーしている全ての人たちに迷惑をかけてしまうからです。数分間のわがままは、倍々ゲームのように後方に影響していき、あっという間に数十分の送れになってしまいます。高速道路などの自然渋滞と構造は同じです。
スロープレーが厄介なのは、当事者に自分がスロープレーヤーだという自覚がないことが多いからです。逆にいえば、誰でもスロープレーヤーになってしまうのです。
遅くて迷惑をかけている可能性があると感じたら、素早いプレーをして前の組にとにかく追い着く、というスイッチをいつでも入れられるようにしておくこととです。そして、スイッチが入ったら実際にプレー速度を上げる方法を身につけていることが最低限の上級ゴルファーなのです。
プレー速度を上げるハウツーが具体的に浮かばない人は、ゴルファーとしての危険信号が出ています。
“打つ”以外の動作を短縮する
打つのを早くする必要はありません。打つまでの移動時間を短くして、打ってからも素早くするだけで十分に速くなります。例えば、自分の順番になったらすぐに打てるように準備したり、打ち終えたらクラブをバッグに戻さずに乗用カートに乗ったり、ちょっとした無駄をなくせば、数秒ずつの貯金ができます。1ホールでも数回、数秒ずつ短縮できれば、数ホールで数分になります。更に、プレーしている人数分で合計すればかなりの時短になります。
上級ゴルファーを目指さないというゴルファーも、レディ・ゴルフを徹底することで素早いプレーが可能になります。結果として、時短が実現できれば、良いことばかりです。下手だから急ぐとスコアが悪くなると不安になる人がいますが、それこそ経験不足の笑い話なのです。時短を意識したレディ・ゴルフは、無意識にスコアアップしやすくなります。
ゴルフは頭を使うものだと言いますが、こういう部分で一石二鳥でゴルフを楽しむことこそが、まさに、頭の良いゴルフです。
さいごに
レディ・ゴルフは、準備を素早くして、どんどんとプレーをしていくゴルフです。
間違いなく、未来のゴルフでは当たり前になっていきます。周囲のゴルフに付いていけなくなることのないように、今から先取りしてレディ・ゴルフは当たり前のゴルファーになりましょう。準備を先延ばしにしないことは、ゴルフのレベルアップのコツなのです。