ゴルフは小さな子供から高齢者まで、幅広い世代が楽しめるスポーツです。しかし日本では中高年が楽しむ高額なレジャーというイメージが強く、若い世代が手軽なスポーツとして選ぶことが少ないため、裾野を広げることが長年の課題となっていました。
さらにゴルフを支えてきたメイン世代である中高年の高齢化により、ゴルフ人口の減少に歯止めがかからず、2000年に1300万人近くいたゴルフ人口は2015年には720万人まで落ち込んでいます。これはいわゆるゴルフの「2015年問題」として、ゴルフの未来が危惧されましたので、見聞きしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
こうした状況はずいぶん前からささやかれていたことですが、ゴルフ関連団体もなかなか有効な手段が打ち出せず、考えあぐねてきたのです。しかし危機感を抱くゴルフ業界が、なんとかゴルフを盛り上げていこうと全日本ゴルフ振興会議というものを発足しました。
ゴルフ界に限らず、財界やスポーツ界、文化・芸能界など幅広い有識者から「ゴルフをどうしたらもっと広めていけるのか?」の意見を伺い、実行していこうという大きな目標を持って開かれたものです。会議には青木功JGTO会長、小林浩美LPGA会長をはじめ、鈴木大地スポーツ庁長官や、国会議員の方々などが出席し、意見を交わしました。
今回はこの真面目な会議の中で、どのようなことが話し合われたのかを取り上げてみたいと思います。
ゴルフの普及を阻む2つの問題点
2016年4月に行われた第1回会議の焦点のひとつは、ゴルフ利用税の廃止と国家公務員倫理規程のゴルフ禁止項目の削除です。ゴルフ利用税は、ゴルファーなら誰もが疑問に思ったことのある税金だと思います。ゴルフ利用税を廃止させようという運動は以前からされているのですが、いまだ実現できていません。
さらに国家公務員倫理規程の中で、「利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること」を禁じた項目があるのですが、これが、ゴルフの普及を妨げ、そしてイメージを悪くさせている要因として、修正を求めているのです。こちらもまだ実現できていませんが、今会議を足掛かりに大きな声として取り上げることで、一気に実現の方向へ向かいたいという思いがあるようです。
実際、会議に出席した鈴木大地スポーツ庁長官は、長官就任前はゴルフをしていたそうですが、長官就任時に周囲にゴルフ禁止を言われ、非常に疑問を抱えていたようです。こうした実体験から、ゴルフの振興を阻む悪慣習を払拭するきっかけが生まれると良いですね。
ゴルフの全国大会開催へ
もうひとつの焦点が、ゴルフ人気の回復とスポーツとしての取り組みです。現在、ゴルフ場数やゴルフ人口の減少など問題が山積みですが、悪いニュースばかりではありません。今年開催されるリオデジャネイロオリンピック、そして2020年の東京オリンピックに正式種目として復活するゴルフには、注目も集まっているのです。
こうした機会を逃すまいと、ゴルフのスポーツとしての地位向上を目指し、今年の夏に開催が決まったのが、『スポーツ庁長官杯ゴルフフェスタ全国ゴルフ大会(仮称)』です。これは基本的に誰もが参加可能な大会であり、全国規模で開催される予定です。
詳細はまだ不明ですが、こうした大きな大会を催すことで、ゴルフを盛り上げよう!という動きは、歓迎したいと思います。ゴルフの良さをたくさんの方に知ってもらい、そして今まで以上に気軽に楽しめるスポーツとして発展してほしいですよね。
おわりに
普段ゴルフを楽しんでいる時には、こうした”お偉いさん”がたの行動は、なかなかピンとこないものです。しかし、なんとかゴルフを盛り上げようという気持ちは伝わりますね。今後ゴルフ関連のニュースを見る際に「ああ、そういえば、そんなことしてたなぁ」と、思い出してみてください。