「アラブの春」という言葉を数年前に耳にしました。中東地域は、強権的な独裁政治体制の国々がほとんどでした。そこで、チュニジアの民主化運動が発端となり、中東地域のあちこちで民主化運動が激化したのです。
しかし、その後のほとんどの中東地域では新たな国づくりに難航し、民主化どころか混乱が広がってしまったのです。「欧米では春というとこれからいい季節がやってくるというイメージでも、砂漠が多い中東地域では春の後に過酷な夏がやってくるというイメージがある」という言葉通りになってしまったのです。
ご存じ、現在シリアではアサド政権と反政府組織の内戦が泥沼化し、多くの難民が周辺国へ流れています。
雑誌や人からいいアドバイス(自分の欠点を補ってくれそうなものや今まで勘違いしていたことの修正)を受けた、よーし、次のラウンドではうまくいきそうだぞ! と「春」の到来を期待して勇みこんでラウンドに望んだものの、今までよりもドタバタしてちっともスコアはよくならず……という「夏」を経験するゴルファーも数多くいるようです。
なぜそうなってしまうのか? 一番の理由は、「なぜそうする方がいいのか」という理論を理解しないまま、”雑誌や他人のアドバイスを鵜呑みにするだけだから”です。今回ご紹介するのは”グリップ”です。”飛ばしに最も効率が良いとされるグリップ”を、理論的にご紹介します。
飛ばしのグリップ
グリップの握りには、”パームグリップ”という手のひらで握るタイプと、”フィンガーグリップ”という指先で握るグリップがあります。左手を用いた下の図で確認してください。
左手はパームグリップにします。●のついた部分は手のひらで肉厚の部分です。そこを支点として握ります。次に右手です。右はフィンガーグリップにします。完全に指の付け根に合わせる方がより効果が期待できます。
大切なのは、●をつけた位置にクラブをしっかり乗せること! こうすることで、右腕の骨を使ってボールを押せるだけではなく、トップでクラブを支える力が働くため安定したトップ・オブ・スイングをつくることができます。
よく、「トップでは右親指でクラブを支える」ということを言う人がいますが、人差し指の付け根でクラブを支えて、インパクトで押す、方が人間の身体の仕組みの上で力を加えることができるのです。今までより手のひら側に近いところで握っていた人には、頼りなく感じられると思いますが、それでいいのです。
そして、親指は両手とも絶対にショートサムにしましょう。
ロングサムの方がしっかりグリップできるようには感じますが、手首を柔らかく使うことができないのです。(試に両方の握りを比べて手首を動かしてみればわかります)
なぜ飛ぶのか
どう握るべきかがわかったところで、「なぜそうするのか」を理解しましょう。左手の肉厚の部分を支点として、グリップをパームにすれば、インパクト後のフォローでクラブを左サイドへ引きやすくなりヘッドスピードを加速させることができます。反対に、フィンガーで握ってしまうと左サイドへ振りぬく力が弱くなるのです。
右手をフィンガーグリップにする最大の理由は、先ほど説明したように「人差し指の付け根でクラブを支え、インパクトでは右手全体の骨の力で押す」ためです。また、パームで握るよりも手首も柔らかく使えるので、ダウンスイングでクラブを立てて”タメ”をつくり、ダウンブローに打っていくことができます(アベレージゴルファーのスイングの多くは、ダウンで目いっぱい力が加わって”タメ”がなくなり、インパクト直前でヘッドが全く加速していないのをよく見ます)。
まとめ
・左グリップはパーム
・右グリップはフィンガー
・親指はショートサム
プロのグリップを見ても十人十色。これ! という一つはありませんが、理屈を知っているのと知らないのとでは練習に取り組む気持ちや姿勢も変わりますよ。