さて、皆さんご存知の通り、2015年10月1日~4日に開催された日本女子オープンゴルフ選手権の優勝者は、4回目のプレーオフを制した韓国のチョン・インジ選手。柔和な笑顔に隠された、強さと自信が伝わってくる試合運びでした。
最終日、テレビ中継では「柏原明日架選手が優勝したら最年少優勝の更新ですね」と、静かに、しかし大いに盛り上がっておりました。がしかし、最終組で回っていた柏原選手は17番のPAR3で池に入れ、アプローチも寄らずパットもなかなか入らずトリ。トップ争いから離脱しました。
迎えた最終18番は、ボギーを出す選手が最も多い難ホール。ティーショットはよかったものの、セカンドはバンカー。誰もが、柏原選手の心の動揺を思わずにはいられなかったでしょう。
しかし、そんな心配をものともせず、バンカーショットをうまく寄せ、結果はパー。笑顔さえ見せたホールアウトに、来場者も大きな拍手を送りました。今回は、シリーズ最終回のトラブル編。バンカーや池などにはまってしまった時の、心の支えとなる名言をご紹介します。
トラブル編 ~悔んで忘れて切り替えよう~
状況?何が状況だ。俺が状況を作るのだ。
(ナポレオン・ボナパルト/1769-1821・軍人)
言ってみたいわ、こんな言葉。
“予の辞書に不可能の文字はない”が有名なナポレオン。自己啓発本の著者かと思えるほど、多くの前向きかつビッグマウスな言葉が伝わっています。ナポレオンはゴルフをやったことがあったでしょうか? 一緒に回ったら、うっとうしい位かも…
母親は「こんな日もあるさ」と教えてくれたが、こんなにたくさんあるとは聞いていない。
(マーフィーの法則)
マーフィーの法則は、1991年のバブル景気崩壊後に大流行。哀愁漂うユーモラスな経験則集で、今でいう自虐ネタに近いですね。ラウンドするたびトラブル続き。でも、こうつぶやいて笑ってみせたい。そして気持ちを切り替えて次のプレーに移りたい!
難しい問題は小さく分けて考えなさい。(何を問題としているか理解できていないから難しいのである)
(ルネ・デカルト/1596-1650・哲学者)
林に飛び込んだボール。ピンを狙いたいが問題は4つ。
①上げれば木の枝
②転がせばバンカー
③低い弾道だと強すぎてグリーンオーバー
④最も問題なのは、そんな器用なショット出来そうもない自分
…と、小さく分けたら気づけました。答えはレイアップ!
さあ、やるんだ。やり抜くのだ。
(アントニオ猪木/1943-・元プロレスラー 実業家 政治家)
類義語としては「立て、立つんだジョー!」(「あしたのジョー」の丹下段平)など。なかなかバンカーから出ない時、ホントに泣きたくなります。ゴルフは自分との戦いだなんてよく言いますが、どう考えても憎きはアゴでしょう。いや、猪木さんのじゃなくて。
成功できる人っていうのは、「思い通りに行かない事が起きるのはあたりまえ」という前提を持って挑戦している。
(トーマス・エジソン/1847-1931・発明家)
今日はハーフで30台が出るかも!と思った途端にトリを叩いたりします。
ゴルフをやっていると、しばしば謙虚にならざるを得ない瞬間がありますよね。でも「どうせ思い通りにいかない」とは似て非なり。
教えることは、2度学ぶことである。
(ジョセフ・ジューベル/18世紀・モラリスト)
トラブル続きの同伴者から「スイングを見て」と言われたのでアドバイスをしたら、「余計わからなくなった!」と言われる始末。やっぱり気軽に教えたらダメだとあらためて思い知ることであります。世間での「教えると、自分もより深く学べる」とは違う解釈であります。
人を教えることはできない、ただ自悟させる手助けをするにすぎない。
(ガリレオ・ガリレイ/16-17世紀・天文学者)
結局、ラウンド中にスイングがおかしくなっても、打ちながら自分で調整するしかないんですよね、心細いけれど。
トラブル編 ~まとめ~
練習編、メンタル編に続き今回のトラブル編で、人生哲学シリーズはひと区切り。
冒頭に書きましたが、日本女子オープンゴルフで優勝したチョン・インジ選手は、優勝インタビューで、「とにかくゴルフを楽しんだ」「楽しむことに集中したことがいいショットにつながった」「風は思い通りにならないから、とにかく自分のゴルフを楽しもうとした」と、”楽しむ”という言葉を何度も口にしていました。
確かに、ラウンド中でもカメラに笑顔で手を振ったり、次のコースへ移動する際にギャラリーとハイタッチしたりと、非常にのんびりした様子。それでいて後半の難しいパットをどんどん沈めていきます。竹は、しなやかであるからこそ折れない、そんな言葉を思い出しました。
【参考文献】
【参考サイト】