日常生活では、ほとんど使う事のない”ヤード“という単位ですが、ゴルフの距離は”ヤード”で表示されています。
ピンまで残り140ヤードは分かりますが、残り128メートルと言われてもピンとこないですよね。それぐらい、”ヤード”はゴルフの世界では、身近で体に染みついた単位です。
しかし、これは世界的にみて少数派だったってご存知でしたか?今回は、ゴルフでは欠かせない距離表示”ヤード”について調べてみたいと思います。
1ヤード=0.9144メートル
後述しますが国際単位系で、1ヤードは0.9144メートルとなっています。だいたい×0.9と覚えている方もいらっしゃると思います。
ですので、おおよそ、100ヤードが約90メートルと考えると良いでしょう。150ヤードですと、約135メートルですね。
ほぼ正確な数値だと
100ヤード=91.44メートル
150ヤード=137.16メートル
です。
ヤードを使うのはアメリカと英国と日本だけ
ゴルフ発祥の地(※諸説あります)英国や、アメリカから日本にゴルフが輸入され、”ヤード”という表示がそのまま使われているのは、当然と言えば当然なのですが、実は現在では、ほとんど採用している国はありません。
英国を除くヨーロッパ各国、オーストラリア、そして、韓国や東南アジアなども含むアジア全般と、ほとんどの国が”メートル”表示をしています。
“ヤード”を使っているのは、アメリカと、英国、そして日本ぐらいなのです。かなりの少数派ですね。
筆者も、”メートル”表示の国があるのは理解していたのですが、あくまでも”ヤード”が多数派だと思っていました。
PGAツアーを開催し、ゴルフ大国であるアメリカの影響が大きいので、そのような気がしていたのですが、驚きですよね。
国際単位系はメートル
国際単位系というものがあります。簡単に言うと、「国それぞれで色々な単位がありますが、それでは不便なので、みんなで同じ単位を使いましょう。」という決まりです。
例えば、時間は「秒/S」、長さは「メートル/m」、重さは「キロ/kg」を使いましょう、というものですね。
日本でももちろん採用されています。ですからそれに伴い、ほとんどの国でゴルフも”ヤード”から”メートル”へ表示が変わっていったのです。
国際単位系を積極的に採用しないアメリカや、未だに”ヤード”と”メートル”の併用表記が多い英国は、まだ理解ができるのですが、なぜ”メートル”表示が浸透している日本で、”ヤード”が残ってしまったのでしょうか?
日本ではなぜか定着しなかった「メートル」
実は日本でも1970年代後半に一度、距離表示を”メートル”表示に変更したことがあります。
年輩のゴルファーの中には、覚えていらっしゃる方もいるかもしれません。ゴルフ場や練習場の距離表示をはじめ、競技の設定やスコアカードの印刷物など、すべてを変更したので、大変な作業だったと聞いています。
しかし、結局はゴルファーの反発にあい、わずか10年足らずで、また”ヤード”に戻すことになったのです。アメリカで浸透しなかったことが、日本にも影響したのでしょうが、結果、世界的には取り残されることになってしまいました。
最後に
筆者は以前、ゴルフトーナメントで、デンマーク選手のキャディをしたことがあり、その際にプロが”メートル”で計算していたことに気づき、戸惑った経験があります。
その時は、「何故ヤードで考えないの?それが普通でしょ!」と思っていたのですが、とんでもない誤りでした。
最近は外国人プロ用に、メートル表示のコースガイドも作られるようになりましたが、まだ日本では”ヤード”のみが使われている状態です。
しかし、今後の流れから考えると、再度”ヤード”から”メートル”へ変更される可能性は大いにあると思います。
2016年開催のリオデジャネイロオリンピックで、112年ぶりにゴルフが正式競技として復活しますが、その際には是非、距離表示にも注目して観戦してみてください。