ティーイングエリアでは前の組がティーアップの最中。ひとりの男性がティーショットを放つと、とんでもないチョロ…。よくある光景ですよね。しかし、ここで男性から「マリガンさせてねぇ~」という一言が。
そしてなんともう一度ティーショットを打つと、何食わぬ顔でスタートしていきました。初めて見た時は、いったい何が起きたのか理解できない出来事です。この“マリガン”とは、いったい何のことでしょうか?人によって“モルガン”だったり、“モリガン”だったり、“マリガン”だったりするのですが、単なる発音の違いであり、どれも同じことを指しています。
「ペナルティはないの?」「 スコアはどうやってつけるの? 」「ルールなの?」「 ティーショットだけなの?」「 そもそも何でそんなことするの?」
などなど様々な疑問が湧いてきます。そこで今回はこの不思議な“マリガン”(今回はマリガンで統一します)について調べてみました。あなたはマリガンを使いますか?
マリガンとは?
まずはマリガンというものが、どんな行為なのか確認してみましょう。
マリガンとは
朝一番のティーショットに失敗してしまったとき“なかったことにして”もう一度打つことというのが一般的ですが、朝一のティーショットに限らず、すべての場面でミスショットを打ち直していいと解釈しているケースもあるようです。これはどちらが正しいということはありません。
ルール的にはどちらも正しくありません。ですから、「マリガンとは?」という明確な処置は存在しないと思ってください。
ただ、ミスショットをやり直すことができる“魔法のことば”のようなものでしょう。
調べてみるとこのマリガン(mulligan)という言葉の由来は人名のようです。よく言われている説では、マリガンという人がいつも朝一のティーショットをミスするので、不憫に思った友人たちが「マリガンさんは、朝一の1打は練習していいよ」と決めてくれたのが、過大解釈されて広まったというものです。
なんだか眉唾ものですが、プライベートルールのようなものが伝染していったことは間違いないようです。
発祥の地であろうアメリカではごく一般的に広まっていますし、韓国でもよく使われています。
また、マリガンの存在を知った日本でも「打ち直していいんだ!」と喜ぶゴルファーに浸透してきています。どうやら「今のショットをなかったことにして打ち直したいなぁ」という気持ちを抱えるのは万国共通のようです。そこに“マリガン”という言葉ができることによって、印籠のような効果が生まれ、堂々と打ち直しができる機会を与えてくれていると思っているのです。
個人的には非常に理解しがたい行為ですが、「プライベートなんだから気軽にゴルフを楽しみたい」と思っている方たちにとっては免罪符のようなものでしょう。実際6インチですとか、OKパットなどもプライベートルールですから、条件は何ら変わりはありません。6インチやOKパットはいいのに、マリガンだけに目くじらを立てるのも理不尽ですよね。
しかし、他のプライベートルールに比べ、視線が冷たいのも事実です。そこでマリガンを適用する(したい)場合の注意点を申し上げましょう。
上手なマリガンの使い方
まずスタート前に、同伴者に「マリガンはアリか?」を確認しましょう。中には毛嫌いする方もいらっしゃいます。OKが出たら、自分の中のマリガン解釈を宣言しておきます。「朝一ショットのみ」「ティーショットのみ」などです。
そして、予想通りミスしてしまったときに「マリガンを使いたい!」と言うのです。これでしたら同伴者の反感を買うことはありません。しかし、もうひとつ注意したいのは、後続組がいる場合です。自分では遅れていないと思っていても、同じところから打ち直す行為は非難される場合があります。
確実に後続組の視界に入っていないことを確認してから打つことを心がけてください。これだけ気を付ければ、マリガンを使っても大丈夫でしょう。
おわりに
マリガンが日本ではあまり受け入れられないのは、「他人が自分より優遇されている」のが気に入らないからだと思います。ただ「マリガン!」というだけで、明らかにトラブルショットになるボールをなかったことにしてしまうのですから。「こっちは真剣にゴルフやってんのに!」と言いたくなるのです。
これがもし“アンプレアブル”であれば誰も文句は言いません。同じようにどこからでも打ち直すことができますが、”1打のペナルティ”が発生する正式なルールだからです。かえって「大変だったね」と同情してくれるでしょう。 それでもあなたはマリガンを使って、1打少なく申告したいですか?