今年、イ・ボミ選手が手にした賞金女王争いが”華麗”なプレーの競い合いだとすれば、シード権争いは、”熾烈”というべきものでしょう。ふたを開けてみれば、来季のシード権を手にした50位の柏原明日架選手と、得られなかった51位の福田裕子選手の差は、たったの23,000円程度。
そして、このシード落ちした選手たちが出場するQTは”過酷”だと言われます。この時期になると耳にする”QT”とは、一体どういったものなのでしょうか。
QTとは
クォリファイングトーナメント。簡単に言えば、シード権を持たないプロやアマチュアが、翌年のツアー出場のシード権をかけて争うトーナメントのことです。ファーストからの挑戦者にとっては、セカンド、サード、ファイナルを経てQTランキング獲得へと進む勝ち抜き戦。当然プロにとっても翌年のメジャーツアーへの出場回数を左右する大事なものとなります。
そこで、夏から始まっている来季(2016年)のためのQTについてまとめてみました。
ファーストQT
8月の中旬に3会場にて3日間競技で実施
出場者数
261人
出場資格
①18歳以上で、ティーチングプロA級の者
②国内外のプロゴルフやゴルフ場関係者などの推薦を受けた者 など。
通過者
今年は3日間トータルのスコアが208~225までの61人が通過しました。単純にスコアだけで考えれば、レギュラーツアーでも上位に入れるスコア。このレベルを維持し続けてファイナルまで行くことは、肉体的にも精神的にも過酷なもの。プロテスト不合格者はもちろん、何年も出場を続けている選手もいるのです。
セカンドQT
11月4日~6日に、4会場にて3日間競技で実施
出場者数
336人
出場資格
①ファーストQTを通過した61人
②今年のプロテストに合格したプロ22人※
③PONTAレディス終了時点の賞金ランキング71位以下で本年度のシードがなかったプロ253人 でした。
通過者
セカンドQTは、3日間トータルのスコアが210~233までの175名が通過しました。
②の※プロテスト合格者は23人ですが、そのうち岡山絵里プロはステップ・アップ・ツアーで優勝したので、セカンドは免除され、サードQTからの出場となります。優勝は大きなアドバンテージなのです。
サードQT
11月24日~26日、2会場にて3日間競技で実施
出場者数
198人
出場資格
①セカンドQT通過者 175人
②本年度のステップ・アップ・ツアー優勝者
小竹莉乃、中村香織(2勝)、マリア・イイダ、大竹エイカ、Pチュティチャイ、金田愛子、鬼頭桜、岡山絵里、城間絵梨、ベイブ・リュウ、青山加織、藤崎莉歩
③PONTAレディス終了時点(11/1)の賞金ランキング70位迄
右の備考にある通り、※印の選手は、大王製紙レディスの結果により、ファイナルQTからの出場となりました。今季の活躍がすべて来季のシード権やQTランキングに関係してきます。シード権のなかった選手にとっては、PONTAレディスで70位までに入ることが一つの目安といえます。
ファイナルQT
12月1日~4日、4日間競技で実施
出場資格
①サードQT通過者
②2015年度シード選手で2016年のシードを獲得できなかった者
③2015年度大王製紙エリエールレディス終了時点(11/22)で賞金ランキングが51位~55位までの者。(福田、川満、井芹の3名が該当)
このような経緯を経て決まったQTランキングを元に、翌年のツアーにどれくらい出場できるのかが決まるのです。
1打の影響、賞金額の重み
ステップ・アップ・ツアーで優勝を果たすと、次のレギュラーツアー4試合への出場権が得られます。中村選手は今季2度優勝しているのでレギュラーツアーには計8回獲得し、トータルでは16試合に出場しました。が、獲得賞金は530万円。
一方、2016年の初シードを手に入れた柏原明日香選手は、今季のレギュラーツアー20試合に出場し、獲得賞金は1,800万円。ツアーごとに賞金額の違いはありますが、数少ないチャンスでいかに上位に食い込めるかがすべてとなります。
ちなみに柏原選手はステップ・アップ・ツアーでは賞金ランキング1位でした。QTランキングは、翌年に出場できる試合数にも大きく影響するため、たった1打が翌年1年を左右することもある、非常に厳しいものなのです。
シード権やQTなどの仕組みがわかると、トッププロのすごさと下位の選手の頑張りがわかり、ますます女子プロを応援したくなりませんか?