ナイスショット(グッショ)!ナイスオン!ナイスアプローチ!などなど。ゴルフにはこんな掛け声がつきもの。うまい人と行ったときは、ナイス!と言葉を発する機会も多くなります。
でも、ちょっと待って! その言葉、やたらと連発したりしていませんか? 本来、掛け声は気分を上げてくれる気持ちのいいもの。時には「マグレですよ」なんて謙遜しながら、内心はもう気持ちよくてたまらない!
なんてこともありますよね。でも、もしも、その掛け声で気分を害する人がいたとしたら?ということで、今回は掛け声についての一考察をお送りしたいと思います。
ではまず、わかりやすく会社の上司や同僚とゴルフに行ったと想定してみましょう。
A 部 長
ゴルフになると人が変わる直属の上司。シングルを目指す練習の虫。
B 課 長
バーディも出ればトリプルもある平均スコア95。むらっ気が課題の50歳。
C 主 任
ゴルフ歴10年。ベストは5年前の95。仕事もゴルフも今一つの万年主任。
D さ ん
勘の良さとレッスンの成果か、3か月で100切りの98を達成した25歳。しかし、それ以降なかなか100を切れず。A部長と回れるので大張り切り。
さて、Dさん。エチケットやマナーの大切さは、あまたの本で学習済み。そして、同伴者の打球がまっすぐ飛べばナイスショット、グリーンにオンすればナイスオン。寄せのひと振りがピンに寄っていけば、ナイスアプローチ!と声を掛けていました。しかし途中からは、せっかくオンしたにもかかわらず、目指せシングルA部長の顔はくもりがち。なぜでしょうか?
そうです、なんでもかんでも「ナイス!」の連発がよくなかったのです。ナイスショットと言うタイミングは、”打ったボールがどこに落ちるか見届けてから”が適切。打った瞬間にナイスショットと言っても、曲がってOBでは格好がつきません。「ナイスショット!…じゃなかった…」とか「ナイスショット!…ちょっと右だけど…」や「ナイスオン!…あら、奥のバンカーか…」なんてことになり、打った本人もガッカリ。
“掛け声はタイミングが大事”を初級編とさせていただきます。ぜひ、覚えておきましょう。しかし、A部長は、それだけが不機嫌の原因ではなかったのです。それは次の中級編でご紹介しましょう。
掛け声のルール中級編
A部長があからさまに顔を曇らせたのは、とあるショートホール。ティーショットの場面です。A部長が打ったボールは右方向に飛び、ドロー気味にグリーンオン。Dさんはここで「ナイスオン!」の掛け声。しかし、ボールは回り込むようにピンの奥、カラーとの境界線まで転がっていきました。その距離ワンピン以上。
B課長やC主任の打球だったら、ナイスオンで問題ないと言えるでしょう。しかし、A部長は目指せシングルプレイヤーのお方。ワンオンは当然のことです。つまり、グリーンの端じゃあ、決してナイスではない!こんなので「ナイスオン!」などと言われては、不本意なことこの上ないわけです。
それでも「ありがとう」とか「いや、ちょっと遠かったかな」と、大人の対応をして欲しいなと思ったりするDさん。ですが、名門と言われるゴルフコースについて言えば、「ショートホールでワン・オンしても、みだりに手をたたかないで下さい」と、禁止されているところもあります。同伴者の雰囲気を見ながら、郷に入っては郷に従えで声を掛けたいものです。
当たり前のようですが、”掛け声は、同伴者への配慮があってこそ”。こちらを中級編のポイントといたしましょう。
掛け声のルール上級編
A部長がもう一つ面白くなかったのは、実は「フォアー!」の掛け声についてでした(ラウンド中ではファーと聞こえる気がしますが)。誰もOBやコース外への打球もない今日のラウンド。そういえば、隣接ホールから飛んできたことがありました。しかも、何の前触れもなく唐突に、です。A部長はこれで怒っていたのです。
“打った球が誰か人に当たる危険性のある方向に飛んで行った場合、プレーヤーはすぐに大声で危険を知らせるべきである。そのような場合に伝統的に使われてきている掛け声は「フォー!!」である。”(日本ゴルフ協会 第一章 エチケット ◎コース上での心得 安全の確認より)
とあるように、フォアー!の掛け声はマナーであり、危険回避の必須ワードです。最初のうちは、なかなかフォアーを言う判断もタイミングも難しいと思いますが、ぜひ心がけていきたいものです。今日のラウンドでまた一回り成長したDさん。
さっそく、A部長のスライスした打球に「フォアー」の掛け声。すると、「今のはフォアーはいらないよ!右ドックなんだし。それにフェードかけたんだよ」と、注意されてしまいました。コースレイアウトは、事前にチェックしておきましょう。それに、ここはA部長のホームコースでした。
やっぱり、なんでも声を出せばいいってもんじゃありませんね。フォー!!それともファー!!と聞こえる?