スイング改善

再現性あるスイングという嘘〜アマチュアゴルファーでもコントロールできるものを探す〜

ゴルフ好きの方なら一度は耳にしたことがある『再現性あるスイング』という言葉ですが、あれは嘘(または限りなく嘘に近い)です。似たスイングはできますが、同じスイングなど存在しないのです。そんな細かいことを気にするのは「おかしい」と言うのは間違い、似て非なる物がゴルフスイングです。

では、なぜ同じスイングができないのか、同じスイングに限りなく近づけるためには何をすればよいのかを解説していきます。

同じスイングは二度とできないという認識が大事

厳密に考えたら、アマチュアゴルファーは一回たりとて同じスイング、同じ球筋を体験することはできません。その理由は、スイング・球筋を決める要素が無数にあり、ほとんどコントロールできていないからです。プロやシングルプレーヤーだけがほんの少しコントロールできているに過ぎないのです。

その要素には、自身がコントロール可能な要素とコントロール不可能な要素があります。コントロール可能な要素の代表格が、人間の身体の各関節の動き、筋肉の動き、気持ちの持ち方等です。これらはコントロール可能な領域ですが、アマチュアゴルファーにとってはコントロールが大変難しいですね。

コントロール不可能な領域は、天候・地形・同伴者等無数の環境要素や、クラブ・ボールの状態等道具の要素が代表的なものです。

例えば、イ・ボミプロが「パターのロフト角が知らないうちに変わっていた」「違和感はあったが、気付くまで時間がかかった」と言っていましたね。クラブは使用すればロフト角が変化するのです。但し、この変化は特別な器具がないと測定不能でアマチュアゴルファーではコントロールできません。

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また、アイアンのシャフトを7番アイアンの長さに統一して有名なB.デシャンボープロ、物理学を先攻し、自らを科学者と呼んでいます。彼はボールを飽和塩水に入れ、重心位置を確認、重心位置が真ん中に近いボールのみ使用するそうです。

ボールの重心位置が球筋に大きい影響を与えるからです。重心が中心(近く)にあると浮遊する状態でよく回転し、一方重心がズレていると同じ表面が上部に浮き出て、回転が早く止まります。世の中には真球のボールはありません。重心が真ん中のボールは有り得ないのです。技術的に不可能です。アマチュアが購入したボールから、使用、非使用の選択も不可能です。

このようにスイング・球筋を決める要素には、コントロール可能なもの、不可能なものがあり、その要素は複雑に絡み合い、アマチュアゴルファーにとっては対応が大変困難であることを知らなくてはならないのです。

アマチュアゴルファーでもコントロールできるものを探し続ける

しかし、その要素を細かく分けて考えていくと、アマチュアゴルファーでも簡単にコントロールできるものがあることに気付きます。動作の大原則で考えるとスイングには準備・段取りの”前動作”と関節・筋肉の動きの”本動作”があります。本動作のコントロールは大変難しいのですが、準備・段取りである前動作は簡単にコントロールできます。

ドライバーショットの例で言えば、下記要素がスイング・球筋を決める要素の代表格です。これらはすべて前動作ですので、やる気にさえなれば、必ずコントロールできるのです。

ティの高さ

ティの高さの標準はドライバーヘッドの上部からボールが半分顔を見せている状態と言われています。3ミリ単位で、ティの高さを変えて、球筋を確認します。高いとスライス、低いとフックがでるはずです。ティの高さが自分にとってどの位球筋に影響するのか把握します。

ボールの位置

ボールの位置の標準は左足かかと内側の延長線上とされています。3ミリ単位で前方、後方にずらしてみます。前方はフック、後方はスライス傾向です。

アドレスした時の手の位置

前傾した時、グリップした両手を3ミリ単位で上げたり、下げたりします。上げるとアップライトになりスライス、下げるとフラットになりフック傾向となります。

右手意識と左手意識

前傾した時、右手に意識を持つとフック、左手に意識を持つとスライス傾向です。

トゥ寄りとネック寄り

フェースをボールにセットアップした時、トゥ寄りだとフック、ネック寄りだとスライス傾向です。

おわりに

このようにして小さな差がどんなスイング・球筋を生むのかを自ら認識することが大切です。小さな差に意識を持っていけることはゴルフ上達の秘訣だと思います。こんなプロセスを経て、アドレスをした時、『いつもと違う』という違和感を感じてアドレスを解けたとしたら、凄いことです。再現性を上げる確率が増してきます。

ゴルフは微差が大差を生むスポーツ、小さな差を無視してはいけないスポーツなのだという認識が必要です。

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